ピクニックパニック

マディー
おばあちゃん！なんでオンボロのトラックが家の前に停まってるの？

ウルスラ
あら、聞いてないの？近々、大規模なピクニックパーティーが開催されるのよ！

マディー
そうなの？何かの記念ってわけ？

ウルスラ
私も詳しいことはわからないのよ。サプライズパーティーみたいなんだけど。たくさんの人が集まるらしいの。

マディー
ところで…あのオンボロ車って、もしかしてキッチンカー？

ウルスラ
よくわかったわね。昔使ってたのよ。ねぇ、あれを新品同様に修理できたらいいと思わない？

マディー
え、キッチンカーを持ってたの！？

ウルスラ
まぁ！何でもかんでも驚いちゃって。いつまで経ってもウブなんだから。

マディー
え…ウブって…

ウルスラ
さ、時間がないのよ！衛生指導員に見つかる前に修理しなきゃ没収されちゃうわ！

ロディ
みんなが来る前に、ピクニックテーブルに料理を並べておきましょう！

ユリウス
それなら、私は食器類を取りに行くとするか。

ロディ
では、僕は料理を調達しておきましょう。

ロディ
ちょっとくらい火遊びしても、バチは当たりませんよね？

ユリウス
バチは当たらんかもしれんが、この大量の食べ物はどうするんだ？

ロディ
マシュマロなら焼いて食べれます。それに、毛布をかぶりながらキャンプファイヤーの前でぬくぬくできるなんて、最高じゃないですか！

ユリウス
ぬくぬく？本当は誰かとイチャイチャしたいんじゃないのかな？

ロディ
そ、そ、そんなことは…

ユリウス
ハハハ！

ロディ
ピクニックって、なんでこんなに楽しいんでしょうね！

ユリウス
ちょうどいいことに、さっき古いインスタントカメラを見つけたんだ。最高の笑顔を写真に収めてあげるよ！

ロディ
ひゃー！ものすごく高そうなネックレスですね！

ユリウス
実はこれ、人工ダイヤモンドなんだ。まあ、値が張ることに変わりはないんだが…買ってからもうずいぶん時間が経ってしまったなぁ…

ロディ
もしかして、ウルスラさんにプレゼントするつもりですか？

マディー
よしと、これで動いてくれるはずよ！

ウルスラ
こりゃ驚いた！車の修理までできるのかい！？

マディー
おばあちゃんを驚かせるなんて、私もなかなかやるでしょ？

マディー
大学で学んだ機械工学が、こんなところで役に立つとはね…人生って何があるか分からないわ。

ウルスラ
そうね…さ、次は車体をピカピカに塗り替えましょう！

マディー
そうしましょう！

マディー
やっぱり、車体は黄色の方がいい気がする…

ウルスラ
嫌だわ。救急車と間違えられたら困るじゃない。

マディー
それもそうね…

ウルスラ
それに、青の方が品があるもの！

マディー
この窓はまだ使えそうね！

ウルスラ
ハハハ！こりゃ、チャーリーに10ドル払わなきゃねぇ…

マディー
何かあったの？

ウルスラ
あれはチャーリーがカットしたガラスなのさ。私が「なんだかちっちゃいわね」って言ったら、「バカなことを言うな！お前の寿命より長持ちするぞ！」って怒りだしてね。

マディー
長持ちと長生きは、ボールトン家のキーワードなのかもね！

ウルスラ
いいこと言うじゃない！

マディー
レジャーシートがないピクニックなんて考えられないわ！

ウルスラ
でも、全員そこに座れるかしら？

マディー
何人くらい来るのか知ってる。おばあちゃん？

ウルスラ
知らないけど、座れる場所が多いに越したことはないわね。

マディー
あと、みんなが道に迷わないように看板も用意した方がいいかしら？

ロディ
ごめんくださーい。誰もいないのかな…

ユリウス
うーん…少し早く着きすぎたか。

ユリウス
…おや、あれはキッチンカーだろうか？

ロディ
僕は建築士なんで車のことはさっぱりです。それにしても、本当にここで合ってるんですかね？

ユリウス
ああ。パールの息子…ええと、名前は何だったかな…とにかく、その子に頼んだんだ。マディーとウルスラにここで待ち合わせるよう伝えてくれってね。

ロディ
まさかメイソンですか？それはマズい！上手く伝わっていないのかも！

ユリウス
しまった！確かにあの坊主、人の話を上の空で聞いてたな。見つけて問い質した方が良さそうだ。

マディー
うーん…多分これじゃ足りないわね。

ウルスラ
でも、カウンターに席を用意したから、食事ならとれるわよ。

マディー
そうだった！食事も用意しなきゃ！

ウルスラ
心配しないで。ちゃんと準備してあるから！

マディー
せっかくキッチンカーがあるっていうのに、自慢のパイは並べないわけ？

ウルスラ
あら、私をナメちゃダメよ。パイ以外の料理だって、そんじょそこらのシェフには負けない自信はあるわ。

ウルスラ
ただ、パイは”残り物”を処分するのにもってこいなのよ。

マディー
残り物を処分って…なんでそんな言い方をするの？

ウルスラ
好きなように解釈してちょうだい。

マディー
え？でも…まあいいわ。

ユリウス
ここにいたか！犯人確保だ！

メイソン
え！？どういうこと？

ロディ
観念しろ！もう逃げられないぞ！

メイソン
でも、なにも悪いことはしていないよ！

ユリウス
ウルスラとマディーに伝言を頼んだだろう？

メイソン
うん…頼まれたけど…

ユリウス
坊や、どうやって伝えたか一語一句教えてもらおうか。

ウルスラ
ユリウス！？

ユリウス
ウルスラ！

マディー
ロディ！？

ロディ
マ…マディー！

マディー
これはどういうことなの？

ウルスラ
あんたたち！どういうことなのか説明しなさい！

マディー
ホントよ！他のみんなはどこ？

ロディ
えっと…すまない。でも、大きな誤解があるんだ！

ユリウス
私はただ、ピクニックでほっこりしたかっただけなのに…

マディー
でも、なんでキッチンカーが必要なわけ？

メイソン
そうだ、そうだ！キッチンカーを用意しろって言ったのはそっちじゃないか！サプライズピクニックだかなんだか知らないけどさ！

ユリウス
なるほど…そこで勘違いが起きてたのか。私が言ったのは「自宅のキッチンから料理をもっていくから、サプライズでピクニックパーティーを開こう」って話だよ。

メイソン
あ、そうだったの？ごめんなさい、ボールトンさん。

ウルスラ
いいのよ、メイソン。

ロディ
それで、これからどうしようか？

マディー
ロディはどうしたいの？もちろんピクニックはやるでしょ？

ユリウス
でも、4人しかいないのにキッチンカーは少し大げさじゃないか？

ウルスラ
とぼけたこと言ってんじゃないよ！だから、お客さんを招待したんでしょう！

マディー
そうよ！元の計画通りやりましょう！

ユリウス
まあ、元をたどれば身内だけでやるつもりだったんだが…

マディー
よし！もうすぐ完成ね！

ロディ
これなら町のみんなも食いっぱぐれることはなさそうだ！

マディー
だってそれが目的でしょ？

ロディ
君はやるとなったら、とことんやる子なんだね。

マディー
ボールトン家の女は強いのよ！

ロディ
ボールトン家の女か…ますます気に入った！

マディー
すごい！これは誰がデザインしたの？

ウルスラ
ユリウスよ！彼、塗装のブラシを魔法のように操るの！

マディー
へぇー！身近に魔法使いがいたとはね！

マディー
そのベーグル、おいしそうですね！

ユリウス
そう言ってくれると嬉しいよ！あと、うちの店からパレード用の風船を持ってきたぞ！

マディー
ユリウスさんのお店は、まるで四次元ポケットね…