ラウンジ

マディー
まさかこんな部屋があるなんて、思いもしなかったわ！

マディー
またしても秘密の部屋かしら？カジノっぽくも見えるけど…

マディー
誰かがくまなく捜索した形跡もあるわね…

マディー
どうして入口がテープで塞がれているの？警察の捜査でもあったとか？

マディー
調べてみる必要がありそうね…

ヴィクトリア
あらあら…ホールデンの話は、どうやら本当だったようね。

マディー
えっ？ヴィクトリア！

ヴィクトリア
あなたが挙動不審で、何かを企んでいると言っていたわ。

ヴィクトリア
それにしても、ここは何なの？場末（ばすえ）のカジノみたいだけど…

ヴィクトリア
ま、私の夫は気に入るでしょうけどね！

マディー
どういうこと？

ヴィクトリア
何にも分かってないなんて、かわいそうな小娘…今からブルーノに話してくるわ。

マディー
待って！階段の修復がまだだから気を付けて――

ヴィクトリア
ああっ！足が！足が階段の隙間に挟まっちゃったわ！

マディー
無理に動いちゃダメよ！怪我をするかもしれないわ！

ヴィクトリア
うるさい！自力で…引き抜いて…みせるわ！

マディー
ヴィクトリア！お願いだから手伝わせて！

ヴィクトリア
私はこれまで誰にも頼らないで一人でやってきたの！あんたの力なんて借りるもんですか！

ヴィクトリア
そもそも、このボロ屋敷がきちんと整備されていれば、こんな目には合わなかったのよ！

ヴィクトリア
…えいっ！ほら見なさい！簡単に引き抜いたわ！

マディー
この部屋は確かに散らかっているだけど、まだ手を付けたばかりなの。他の敷地なら…

ヴィクトリア
お黙り！こんなボロ屋敷、さっさと取り壊しておくべきだったわ！

ヴィクトリア
近々、私の夫から連絡があるはずよ。素晴らしい計画をお披露目するから、楽しみにしてなさい。

マディー
計画って…何の計画！？

ヴィクトリア
ちなみにこの靴、マニュエロのヴィンテージ物なの。請求書を送らせてもらうからね。

マディー
邸宅内は派手な部屋が多いけど、この部屋はレベルが違うわね。

マディー
こういうカジノ、マフィア映画で見たことがあるわ。ギャンブルが違法だった頃に、秘密の賭博場を開いていたのかしら…

マディー
マフィア映画の真似事ってだけならいいけど、本当にレオナルドさんが裏カジノを経営していたとしたら…

マディー
…でもまさか、そんなはずないわよね。

マディー
うーん…

マディー
ここはVIPエリアみたいね。

マディー
きっと、怪しい取引が行われていたに違いないわ…

執事
マディー様、お忙しいところ申し訳ありませんが、大変な事態が起きておりまして…

マディー
どうしたんですか？

執事
この邸宅に侵入者がいるようです！

マディー
侵入者ですって！？

執事
ええ、しかも横暴で狡猾な輩です。私の鋭い目がなければ、見逃していたでしょうな。

マディー
一体何をやらかしたんですか？

執事
ウルスラ様が育てておられるベチュニアの花を、すべて食い散らかしたのです。

マディー
えっ！？

執事
実に奇妙な犯行だとは思いませんか…？

マディー
ウィンストンさん…悪いんですけど、今は時間がないんです。

執事
しかしマディー様！これは緊急を要する事態ですぞ！

マディー
花が多少食べられちゃったとしても、私が後で植えておきますから。きっと、お腹を空かせたウサギかホリネズミの仕業ですよ。

執事
しかし、私の計算に間違いがなければ、ホリネズミにしてはかなり大きな個体かと…

マディー
どれくらい大きいんですか？

執事
足跡とその深さ、そして荒らした花の数を見る限り…500キロ近くはあるかと思われます。

マディー
そんなに！？

執事
左様でございます。

マディー
ウィンストンさんは、誰が犯人だと思っているんですか？

執事
巨大な獣だと推測します。

執事
敷地内に、艶のある白い毛髪も散乱しておりまして、この辺りの動物ではなさそうです。

執事
一時は、あの恰幅かっぷくの良い灯台守の仕業ではないかと邪推じゃすいしたのですが…

マディー
ヘイッキさんのこと！？いくらなんでも、花を食べたりはしませんよ。

執事
というのも、それ以上に奇妙な行動を取っているのを見かけたことがあるので…

執事
ええ、それ以上に…

マディー
ウィンストンさん！侵入者は見つかりましたか？

マディー
えっ…どうしたんですか？

執事
申し上げにくいのですが、計画は失敗に終わりました。

マディー
そうですか。でも少し安心しました。だって…

執事
私は自分の計画を盲信しすぎていたのです。そのせいで、西側のフェンスの大半を破壊されてしまいました…

マディー
それはひどい…

執事
週末に後始末をたします。誠に申し訳ございません…

執事
マディー様、侵入者を捕まえる名案を思いつきましたぞ！

マディー
すごい張り切りようですね！どんな計画なんですか？

執事
罠にはめるためのご馳走を用意するのでございます。大好物の草花を混ぜ合わせた至極の一品です。

執事
嬉々ききとして飛びつくことでしょうな。欲望には抗あらがえません。

執事
邸宅に平和が訪れる日も近いですぞ！

マディー
ウィンストンさん…その罠って、身体を傷付けるものではありませんよね？

執事
…

マディー
違いますよね！？

執事
…いったん失礼いたします。

ロディ
マディー、さっきはごめん。ちょっと大事な会議があって。

マディー
大丈夫よ。でも、おばあちゃんとあの男性の写真を見た時は、面食らってたみたいだけど…

ロディ
そ…そりゃそうさ！だってチャーリーさんが生涯の伴侶だと思ってたのに、既婚歴があったなんて、誰だって驚くだろ？

マディー
そうよね。私も話を聞き出そうとしたんだけど、ケンカになっちゃった。

ロディ
ウルスラさんも気が強いからね。マディーが一番よく知ってるだろ？

マディー
と思ってたんだけどね…私、本当におばあちゃんのことを知ってるのかしら？

マディー
見て！すごい量の札束よ！

マディー
でも、なんで焼けた跡があるのかしら？

ロディ
誰かが証拠の隠滅を図ったとか…？それにしては粗が目立つけどね。

マディー
大金を犠牲にしてまで？それなら、私が欲しいくらいだわ！

ロディ
でもちょっと待って…このお金には価値がないかもしれない…

マディー
どうして！？

ロディ
偽札だよ。偽札は熱を浴びるとインクの色が変わることが多いのさ。ほら、この部分が見えるかい？

マディー
うーん、確かに…でも、どこでそんな知識を？

ロディ
え…ええと…実は犯罪ドキュメンタリーを見るのが好きなんだ…

マディー
このダッフルバッグ、偽札が詰まってるわ。

マディー
犯罪映画さながらね…

マディー
ま、ご先祖様と違って、私には使い道がなさそうだけど。

マディー
散らばったお札を片付けていて気付いたけど、この暖炉、なかなかオシャレね。

ロディ
作られた時代を考えると、驚くほどモダンな作りだね。

マディー
レオナルドさんは先見の明があったってことかしら。

マディー
これって…レオナルドさん！？

マディー
まるでマフィアのボスみたい…

マディー
映画好きだったにしても、ちょっとやりすぎよね…

マディー
現実の話じゃなきゃいいけど…

マディー
これって…レオナルドさん！？

マディー
まるでマフィアのボスみたい…

マディー
映画好きだったにしても、ちょっとやりすぎよね…

マディー
現実の話じゃなきゃいいけど…

ロディ
これはスロットマシンかな？

マディー
でしょうね。でもホープウェルベイでは最近までギャンブルは違法じゃなかったっけ？

ロディ
確かに！ブルーノさんが町長になってからすぐに解禁されたけどね。

マディー
なるほど…つまり、ここは裏カジノだったんじゃないかしら！

ロディ
なんだか悪い予感しかしないよ。

マディー
そうね…でも、これにもきっと事情があるはずよ。必ず突き止めてみせるわ！

マディー
せっかくトランプを見つけたんだから、使ってあげなきゃ！

マディー
一息つくのも大事よね。余計なことは忘れて楽しもうっと！

マディー
プレイ開始よ！

マディー
トランプで遊びましょう！ボード上のトランプデッキからカードを取り出したら、同じカードを合体させて、より高い数字を手に入れてね。

マディー
テーブル上のカードと同じカードを使用すると、そのカードが消えてなくなるわ。目標はすべてのカードを消すことよ！

マディー
カードを全部消して賞品をゲットしましょう！

マディー
コツをつかんできいたみたい！

マディー
こうなったらやめられないわ！もう1回よ！

マディー
「神秘の預言者クレア・ヴォヤンス」

マディー
「あなたの運命を丸裸に！最初の占いは10％オフ！」

マディー
うーん…スノードームに運命が映し出されるっていうけど、いまだに信じ切れないのよね…

ウルスラ
マディー。

マディー
おばあちゃん。

マディー
しばらくぶりね…

ウルスラ
ええとね…

マディー
これ以上言い合いをするつもりはないわ。おばあちゃんは私をギャラリーに閉じ込めようとしたけど、自分で脱出してみせたんだから！

ウルスラ
そのことなんだけど…実はおまえに謝ろうと思ってね…

マディー
えっ…？

ウルスラ
つらく当たってしまって、すまなかったね。

ウルスラ
でもおまえの質問には、簡単に答えることができないの…

マディー
どうして？

ウルスラ
あの写真には深い事情があるのよ。

マディー
本当にチャーリーおじいちゃん以外の人と結婚していたの？それともまだ婚姻関係があるの…？

マディー
だってあの人、マフィアだって噂が…

ウルスラ
それは本当よ…

ウルスラ
私の最初の夫はマフィアのボスだったの。

マディー
ウソ！そんな！

ウルスラ
チャーリーと出会う数年前のことよ。

ウルスラ
当時、私の家族は多くの金銭トラブルを抱えていたの。

ウルスラ
でもそこに、成功を収めたハンサムな青年が颯爽と現れて、すべてを約束してくれたわ。

ウルスラ
借金をすべて肩代わりしてくれるってね。ただ条件は、彼と結婚することだった。

ウルスラ
私も若いなりに正しい決断をしたと思っていたわ。彼の正体を知るまではね…

ウルスラ
何度も逃げようとしたけど、チャーリーと出会うまでは無力で、何もできなかった…

ウルスラ
それ以来、私たちは追われる身になったの…

マディー
そんなことがあったなんて…

マディー
ごめんなさい、事情も知らずに勝手なことを言って…

ウルスラ
おまえには伝えておくべきだったね。過去と現在は切っても切り離せない関係だもの。

ウルスラ
本当にごめんね…

マディー
ううん、気にしないで。私たちの敵は多そうだけど…

マディー
ボールトン家の女性はタフだから、きっと大丈夫よ！

マディー
仲直りできて良かったわ！これからも、色んなことを話し合えるような関係でいたいな…

ウルスラ
私もそう願っているわ。

ロディ
こいつはおもしろいな…

マディー
ロディ、まだいたのね！

ロディ
邪魔だったかい？

ロディ
ま、後はマディーひとりで大丈夫そうだし、僕もそろそろオフィスに戻るとするよ。

マディー
ちょっと待って、そういう意味じゃないの。

ロディ
いや、僕がいると気が散るだろうから…

マディー
ロディ、私もトランプに夢中になっていただけで…

ロディ
はぁ…

ブルーノ
これはこれは、マディー君！ごきげんよう！

マディー
…

ブルーノ
なんだ、挨拶もなしかい？その顔から察するに、私の愛しき妻、ヴィクトリアと話したようだね？

マディー
ええ、話しました。何か素晴らしい計画があるっておっしゃっていましたが、どんな計画なんですか？

ブルーノ
君には気に入ってもらえないのかもしれないが、ホープウェルベイの他の住民は大喜びする計画だよ。

マディー
町長が得するだけじゃないんですか？

ブルーノ
いいや、誰もが喜んでくれるはずさ。カジノだよ。

マディー
カジノですって！？

ブルーノ
決して君に個人的な恨みがあるわけじゃないんだ。ビジネスとして良い計画じゃないかと思ってね。

ブルーノ
恨みを晴らすなら、もっと別の方法があるさ。

マディー
脅迫のつもりなら無駄ですよ。

ブルーノ
少し緊迫感が足りないようだね。私には、ある筋の「友人」がついているのだよ。

マディー
どんなコネをお持ちだろうと、家を売るつもりはありません。

ブルーノ
やれやれ…もう一度よく考えたまえ。このみすぼらしい家を、どうして手放さない？虚栄心か？それとも過去の栄光を取り戻したいなどという戯言ざれごとを吐く気かね？

ブルーノ
ボールトン家の帝国は崩壊したんだ！進歩の過程で塵ちりと化したのだよ。

ブルーノ
その壁を何度上塗りしようと無駄だとは思わないのかね？

ブルーノ
ボールトンの失敗の歴史は隠しきれるものではない。欲と自尊心がこびり付いているからね。

ブルーノ
もうお遊びは終わりだ。単刀直入に言おう。

ブルーノ
ボーモントホールをこちらによこせば、二流弁護士を雇えるくらいの金はくれてやる。

マディー
何ですって！？

ブルーノ
聞こえただろう？君のおばあさんを助ける話は、もうなしだ。塀の中に入ってもらうよ。この事実は変えられない。しかし、まだ君が助かる道は残っている。

ブルーノ
私の提案を受け入れることが前提だがね。

マディー
今すぐ出てって！

ブルーノ
そんなに声を荒げなくても出ていくさ。しかし、君の運命もこれで尽きたな。

マディー
この紙…捨てるつもりだったけど、重要なことが書いてありそうね。

マディー
ちょっと見てみましょうか…

マディー
ええっ…！？業務停止命令の通知書だわ！レオナルドさん宛になってる！

マディー
裏カジノの業務容疑って書いてあるけど…

マディー
当局も目を付けていたんだわ。確実に捜査が行われてた形跡があるもの。

マディー
なら、物が散乱しているのも納得ね。きっと、この場所をくまなく捜索したのよ…

マディー
とても立派なステージね！

マディー
楽器から見て、ジャズを演奏してたようだけど…

マディー
聞いてみたかったなぁ…

マディー
カーペットの修復に時間がかかるのも当然ね。

マディー
織り目がとっても細かいもの。きっとこの部屋専用の特注品なんだわ。

マディー
レオナルドさんはこの部屋に、どれだけの大金を注ぎ込んだのかしら！？

マディー
見て！あの偉大な預言者、マルザールの復活に成功したわ！

マルザール
*バズズズズ*ヨ言しゃ マザール の 言バ を授ケよう。

マディー
なんだか不気味だけど、ワクワクするわ！

マルザール
*ジリジリジリ*ソナた の うん命は 待っテ…*バズズズズ*助ケ は 遅クナい…*カチカチッ*肖ゾウ画は イキテいる…

マディー
肖像画？うーん…何のことかしら？

執事
マディー様…葉っぱを食い散らかしていた犯人を見つけました…

マディー
やりましたね！一体誰だったんですか？

執事
それが…まったく予想外の結果でして…

マディー
どういうことですか？

執事
馬…だったのです。

マディー
馬ですって！？

執事
左様でございます。どこかから逃げてきたようなのですが、なかなかのじゃじゃ馬でして…やっとのことで牧場へ連れ戻すことができました。

執事
マディー様も、今すぐ牧場へ向かわれた方がよろしいかと。

マディー
ボールトン家は牧場も所有しているんですか？いつものことだけど、驚きの連続だわ…

マディー
でも行ってみます！

マディー
素敵なバイクを用意してくれたウィンストンさんに感謝しなきゃ。色も私好みでかわいいし！

マディー
おばあちゃんのコレクションの中にも、こんなにかわいいバイクがあったのね。

マディー
ウィンストンさんによると牧場は遠くないみたいだけど…とにかく、そこで待ち合わせてるから行ってみましょうか。

マディー
身体が乗り方を覚えているといいけど…

マディー
エンジンよし、ミラーよし、ヘルメットよしと！