映画館

マディー
…おじいちゃんの日記に書かれていたのは、邸宅内のこの場所ね。

マディー
私の読みが正しければ、ここはどこかに繋がっているはずよ！

マディー
書斎の下にあった隠し部屋を思い出すわ…

マディー
あそこでスパイ道具をたくさん見つけたのよね。ここにもきっと別の秘密が眠っているはずよ。

マディー
今回も、徹底的に調べて、すべての謎を解き明かしてやるんだから！

マディー
ここは…映画館だわ！

マディー
それとも…劇場？

マディー
うーん、どっちなのかしら…両方ってこともありえるわ。

マディー
分からないけど、おもしろいものがたくさん転がっているのは確かね。きっとこの中に、答えに繋がる手がかりもあるはずよ！

アーサー
懐かしい気分だ。君の独り言を聞くのは久しぶりだな。

マディー
ビックリした！アーサー！？ここで何をしているの？

アーサー
やあ、マディー…

アーサー
驚かせてすまない。ただ、君にもう一度会いたくなってね。

アーサー
君に執事に頼んで、敷地内に入れてもらったんだ。

マディー
何の用なの、アーサー？

アーサー
マディー、僕は…僕は君のことがずっと恋しかったんだ！

マディー
あら、そう？そんなに私が恋したかったのなら、どうして結婚式から逃げたりしたの？

アーサー
それにはやむを得ない事情があったのさ。…ん？ところでここは映画館かい？僕たちの初デートを思い出すじゃないか！

アーサー
大学の隣にあったあのボロ映画館を覚えているかい？

マディー
言われてみれば、雰囲気が似てるような気もするわね…

マディー
でも確か、建物があまりにも老朽化していたから映画は寮で見ることにしたのよね。

アーサー
そうそう！で、僕が豪華な夕食をふるまったんだ！

マディー
豪華って…インスタントのラーメンと、私のヘアアイロンで焼いたグリルドチーズサンドイッチが？

アーサー
ボリュームたっぷりで十分豪華じゃないか。そりゃ、”高級ディナー”とは言えないけどね…

マディー
ふふっ、その通りね。でも…味は悪くなかったわ！

アーサー
やっぱり、君も同じ気持ちなんじゃないのか？僕たちはお互いに…まだ惹かれ合っているんだ！

マディー
アーサー、私…

マディー
今のは何！？

マディー
ロディ！あなたなの？

ロディ
ああ、えっと…やあ！別に盗み聞きするつもりはなくて、話があって来ただけなんだ。

マディー
良かった！まだ私に怒ってるんじゃないかって、心配してたの…

ロディ
怒ってなんかいないよ！だけど…少し二人きりで話せないかな？

マディー
もちろんいいわ！じゃあ、今からーー

アーサー
マディーを君と二人きりになんてさせるものか。話なら今ここで、僕の目の前ですればいいだろ。

マディー
ちょっと！私が誰と話をするかは、私が決めるのよ！

ロディ
そうだよ。僕らの邪魔をしないでくれ。

アーサー
後から割り込んできたのは、そっちじゃないか！

ロディ
そうさ。そして先に去っていったのも君だ。今回もそうするかい？

マディー
二人ともケンカはやめて！一体どうしたっていうの！？

ロディ
マディー…君に言わなきゃならないことがある。ずっと前から話そうと思っていたことなんだ。

マディー
分かったわ、ロディ…じゃあ、隣の部屋でーー

アーサー
おいおい、マディー。本当にこんな疫病神の話を聞くつもりか？

マディー
アーサー、なんてこと言うの！

アーサー
だってそうじゃないか！これ以上こいつに関わると後悔するぞ！

アーサー
マディー、こいつの言うことを信用しちゃ駄目だ。

ロディ
ハッ、そういう君はどうなんだ！？こんな風に再び姿を現すなんて、ずいぶん都合のいい話じゃないか…

マディー
二人とも、一体何の話をしているの？

アーサー
マディー、こいつの正体を知っているのか？こいつはどこの生まれだと思う？

マディー
そんなの知ってるわよ！ロディはホープウェルベイ出身よ！

マディー
…そうよね、ロディ？

ロディ
…

アーサー
これで分かったか？僕はこいつの正体を知っている…どこから来たのかもね。

マディー
一体どういうこと？何の話をしているの？

ロディ
耳を貸しちゃ駄目だ、マディー。やつは君を操ろうとしているんだよ。

アーサー
つまらない芝居はもいやめたらどうだ、”ロディ”？お前の正体を分かっているんだ。

ロディ
もし僕の”正体”を知っているのなら…

ロディ
これ以上は口を開かない方がいい…分かっているはずだ。

アーサー
本性を現したな！

マディー
ロ、ロディ！？

ロディ
マディー！ご…ゴメンよ！

マディー
二人とも出ていって。男同士で見栄を張りあうなんてみっともないわ！もうウンザリよ！

マディー
あと、馬鹿な真似だけは絶対にしないで！

アーサー
分かったよ。外に行くとしよう。

ロディ
ああ、そうするよ。

マディー
これだから男は…

マディー
どうして…どうしてアーサーは、今になって私の前に姿を現したの！？

マディー
それに、あんな様子のロディ…初めて見たわ！

マディー
ああ、もうっ…独り言が止まらない！

マディー
落ち着くのよ、マディー。二人と話しをして、真相を突き止めないと。

マディー
今は他のことを考えましょう。だから映画館の修復作業に集中するのよ！

ウィンストン
マディー様、お取り込み中のところ申し訳ありませんが、実は先ほどより不測の事態が発生しておりまして…

マディー
どうしたんですか、ウィンストンさん？

ウィンストン
恐れながら、先ほど出て行かれたあのお2人が、取っ組み合いのケンカを始めてしまったのです。

マディー
あのバカ2人組！だから言ったのに！

ウィンストン
先ほどから私の方で2人が壊した物の片付けをしているのですが、あまりにもキリがないもので…

マディー
片付けの前に、まずは喧嘩を止めてくださいよ！

ウィンストン
マディー様、お言葉ですが私はあくまで執事であって、レフェリーではありませんぞ。

マディー
喜劇と悲劇、演劇の原点ね…

マディー
思い返してみれあ、私の人生も喜劇と悲劇の繰り返しだったわ…

マディー
この石にも見覚えがあるわね…

マディー
確か、これと同じものが秘密結社の集会所にあったはずよ！

マディー
でも、どんな意味があるのか見当も付かないわ。

マディー
組織のシンボルか何かかしら。

マディー
舞台に何か刻まれているわ。「この世はひとつの舞台」ですって…

マディー
ここで昔、シェイクスピアの劇をやったのかな？

マディー
この操作パネルはステージの照明用かも…

マディー
映画フィルムがたくさんあるけど、なかなか興味深いラインアップね…

マディー
聞いたこともない映画ばかりだけど…ん？これは何かしら？

マディー
「アワードセレモニー-ホープウェルベイに生まれて」ですって！後で観てみなきゃ！

マディー
これ、知ってる！

マディー
コイン式のミュートスコープだわ！

マディー
フィルムの代わりに、絵を一枚一枚めくって映像を映し出すのよね。パラパラ漫画と同じ原理だわ。

マディー
…って何よこれ？英語かと思ったのに、これじゃまるでスパイの訓練用動画じゃない…

マディー
映画といえばやっぱりポップコーンだわ！

マディー
歯に詰まるけど止まらなくなっちゃうのよね…

マディー
だっておいしいんだもん…

マディー
あっ！このキャラクター、見覚えがあるわ…

マディー
この映画がきっかけで考古学に憧れたんだっけ。

マディー
観返してみようかな…

マディー
あれ？ここの座席だけ他と見た目が違うわ…

マディー
それに、映画館の座席にしてはちょっと装飾が凝りすぎじゃないかしら？

マディー
でもだいぶ古くなってるし、座り心地も悪そう。交換した方がよさそうね。

マディー
この映写機、かなり年季が入ってるわ…

マディー
誰かが改造したのかな？変わった機能が付いてるみたい。

マディー
もしかしたら、音楽家のエディーさんが関係してるのかも。

マディー
いつかここで映画パーティーを開きたいものね。

マディー
…あれ？座席の隙間にメモが隠されてるわ！

マディー
ボロボロだけど、重要な書類なのは間違えなさそう。でかでかと”極秘”って書いてあるくらいだからね。

マディー
見つけたからには開けてみるしかないわ。どれどれ…あっ！これ、秘密結社の文書だわ！

マディー
えっ…座席の使い方のマニュアル…？

マディー
もしかすると、座席の配置に意味があったりして！

マディー
普通の映画館だと思わせて、実は映像や俳優を使って秘密情報の受け渡しをしてたのかも！よく考えられたものだわ…

マディー
ちょっと待って…この紋章、見覚えがあるわ！

マディー
あの古い座席の裏にあったものと同じじゃない！

マディー
あの極秘メモの意味が分かってきたわ…

マディー
この表で重要人物の座席位置を管理してたのね。もっと深堀りしたくなっちゃう！

マディー
やっぱりこの場所も図書館と同じで、スパイ組織と関わりが合ったに違いないわ！

マディー
そっか！あのコントロールパネルはスクリーンと連動していたのね！

マディー
すごい仕掛けだけど、妙に近代的なのが気になるわ。だってこの場所とまるで不釣り合いだもの…

マディー
でも、取り付けてくれた誰かのお陰で、いつでもここで映画を観られるようになったわ。いつかムービーナイトを開きたいわね！

マディー
このプロジェクター、とても古いけど…ダンスフロアのときと同じ要領で修理できるはずよ。

マディー
配線を少し調整すれば…これでよし！

マディー
フィルムも入っているみたいね。動作するか試してみましょう！

マディー
映画の上映カウントダウンが始まったわ！でも、それにしては数字が多すぎるわね…

マディー
これ、もしかして電話番号かしら？映画スターの番号だったりして…

マディー
とにかく、数字はすべて覚えたわよ！映像記憶能力があってよかったわ！

マディー
この部屋の改装はもう済んだと思ったんだけど…

マディー
この壁の裏にまだ何かあるみたい！

マディー
ここは…控室？

マディー
きっと、この場所がまだ舞台公演の劇場だった頃に使われていたんだわ…

マディー
ここを調べて、当時出演していた俳優たちの情報を探ってみましょう！

マディー
よく考えたら、なんでここに電話が置いてあるのかしら？

マディー
俳優たちが外部と連絡を取るため？

マディー
ちょっと待って、私がさっき覚えた番号…

マディー
少し妙な気もするけど、この番号でかけてみようかしら…

マディー
最初は4、そして8…最後は3よ！

マディー
何か聞こえてくるわ！これは、音声メッセージね…

マディー
“好奇心探求会の信条は好奇心…”

マディー
“この神聖な殿堂で、青き石は語られざる物語を囁く。”

マディー
“各々の石の配置には意味があり、秘密が隠されている。”

マディー
“その道をたどれば、真実は開かれるだろう。”

マディー
“秘密の奥深く、暗闇の中に日の光は差し込む。”

マディー
興味深いわね！謎解きは私の大好物よ！

マディー
私のような好奇心旺盛な人に、好奇心探究会が大きな手がかりを残してくれたようね。

マディー
他にも宝石やシンボルがないか、注意して探してみないと…

マディー
うーん…この日誌の暗号、かなり手強いわね。せめて何かヒントになるものがあればいいんだけど…

マディー
そういえばこの紋章、ミュートスコープの映像にも出てきた気がする！

マディー
そうそう、これよこれ！やっぱり同じ紋章だわ！きっと映像にヒントが隠されてるはずよ。さっそく観返してみましょう！

マディー
ふむふむ、「秘密を見つけるには上るべし」に「真実を知るには下るべし」ねぇ…

マディー
でもこれ、一体どういう意味なの？どこかに上の階へと繋がる秘密の通路でもあるのかしら？

マディー
そこら中に好奇心探究会関連の品が転がってるわ！

マディー
これは前に見た仮面と同じものね。演劇の衣装もあるわ！

マディー
こんなところに写真も！写っているのは誰かしら？

マディー
うーん…

マディー
みんな変な仮面を被っていて、誰が誰だか全然分からないじゃない…

マディー
でも顔を隠すってことは、身分を隠す必要があるほどの大物たちってことね。

マディー
ここまでする必要があるのかしら？いくらなんでも徹底しすぎじゃない？

マディー
まさか…

ウィンストン
はい、2人の争いはまだ続いています。誠に残念ながら、シャンデリアも壊されてしまいました。

マディー
ウィンストンさんはただそれを眺めてたんですか？

ウィンストン
とんでもございません！ためらうことなく、すぐにマディー様に報告させていただきましたぞ！

ウィンストン
ふむ…ロディ様は、見かけによらず力があるみたいですな。

マディー
何でそんなことが分かるんですか！？

ウィンストン
あのアーサー様を軽々と投げ飛ばし、壁に大穴を開けていましたからね。人並み外れた怪力ですぞ。

マディー
アーサーを投げ飛ばしたですって！？

ウィンストン
マディー様、朗報ですぞ！

マディー
よかった、ついに喧嘩が終わったのね…

ウィンストン
いえ、喧嘩はまだ続いております。

ウィンストン
でもご安心ください。今は外で暴れていますので、もう何かを壊される心配はありませんぞ！

マディー
それは何よりだわ…

マディー
もうたくさんよ！

マディー
外に行って2人を止めてきてください！ウィンストンさんが行かないなら私が行くわよ！

ウィンストン
どうかご冷静に。お2人の喧嘩なら、すでに決着がついております。

ウィンストン
生じていた損害の方も、ほぼすべて修復することができました。

マディー
そ…そうだったんですね。任せっきりになってしまい、すみません…

ウィンストン
お気になさらず。これも屋敷を守る者の務めでございます。

マディー
これは何！？

マディー
上に登るための梯子だわ！屋根裏部屋か何かに続いているみたい。

マディー
日記に書かれていたのは、このことだったのね…

マディー
梯子を登った先に、重要な秘密が隠されているのかも。

マディー
確かめてみる必要がありそうね。