マディーの部屋

マディー
この部屋をずっと避けてきたけど、ようやく足を踏み入れる勇気が湧いてきたわ…

マディー
あらら…

マディー
ひどい散らかりようね…

マディー
廃墟同然の昔の部屋…今の私にはお似合いかも…

マディー
私の人生そのものだもの。

マディー
あら、電話だわ…

マディー
もしもし？

ヴィクトリア
マディー！自分が何をしたか分かってるの！？絶対に後悔させてやるから！

マディー
ここが私の子供部屋ね！幼少時代に戻った気分！

マディー
とってもかわいい人形の家ね！ミニチュアサイズのボーモントホールだわ！

マディー
待って…木の板に文字が刻まれているわ！

マディー
L…ってことは、これはリンジーのものだったのね！

マディー
毎日これで遊んでいたかったなぁ…

マディー
でも、大人が遊んじゃダメってルールはないからね。今なら遊び放題よ！

マディー
ヴィクトリア！一体何の用？

マディー
もう関わらないで！

ヴィクトリア
何ですって！？よく聞きなさい、この小娘。関わるかどうかを決めるのは私なの！

ヴィクトリア
あなたのせいで、愛しのブルーノが逮捕されてしまったのよ！

マディー
自業自得よ！そのまま牢屋でーー

ヴィクトリア
私に盾突くとどうなるか…思い知らせてあげるわ、マディー！

ヴィクトリア
あなたとおばあさんは、大きな報いを受けることになる…ああ、その時が楽しみだこと！

ヴィクトリア
*プツッ*

マディー
…

ウルスラ
誰からの電話だい、マディー？廊下まで声が響いていたよ！

マディー
ホールデン！？

マディー
ここで何をしているの？

ホールデン
この町最大のスクープを狙いに来たのさ！俺は記者なんでな。

ホールデン
それに、ヴィクトリアからの依頼もある。彼女を相当怒らせたようじゃないか！

マディー
出ていって！

ホールデン
そう言うなよ。修復の邪魔をするつもりはないさ。

マディー
あいかわらず、癪に障るやつだわ…！

マディー
私、おもちゃをたくさん持っていたのね！

マディー
特に電子玩具が多いみたい。この飛行機のことは特によく覚えているわ。

マディー
お父さんが、どうしても私にプレゼントしたいって言ったのよ。

マディー
飛行機の構造を一生懸命教えてくれたっけ…

マディー
たくさんへこみがあるところを見ると…私、本当にこれを飛ばそうとしたのね。

マディー
これは…きっと、私が保育園の時に描いた絵ね。

マディー
お母さん、お父さん、そして真ん中に私…

マディー
こんな時代が、ずっと続けば良かったのに…

マディー
はぁ…

マディー
ヴィクトリアからよ…私たちに復讐するつもりみたい。

ウルスラ
あんな女、気にする必要はないよ。ま、彼女はうちの一族に昔から恨みを持っていたんだけど…

マディー
えっ…どうして？

ウルスラ
ヴィクトリアの一族は、ボールトン家と…浅からぬ因縁があってね。

ウルスラ
ホープウェルベイのような小さな町では、遅かれ早かれ起きていたことさ。

マディー
ま、それはそうかもね…

ウルスラ
ついに、自分の昔の部屋に入る決心をしたんだね。

マディー
ええ。ようやくその勇気が湧いてきたの…

ウルスラ
子供の頃、おまえにはこの部屋で何時間も遊んでいたね！

ウルスラ
あの小さなテーブルにおもちゃをすべて集めて、壮大なお茶会を開いていただろう？

マディー
そうなんだ…全然覚えてない。

ウルスラ
まだ4歳だったからね…部屋を修復し終わる頃には、少しは思い出すんじゃない？

マディー
このおもちゃ…見覚えがあるわ！

マディー
あっちに枕を集めて、要塞を作って遊んだのよ…

マディー
お父さんとね…

ウルスラ
そうだね。マイケルはおまえと何かを作るのが大好きだったんだ。

ウルスラ
彼はおまえに機械工学の道へ進んでほしかったようだけど…その通りになって、きっと喜んでいるはずさ。

マディー
おばあちゃん？

ウルスラ
何だい、マディー？

マディー
教えてほしいの…私の両親について。

マディー
両親の顔は…まるでスナップ写真みたいに、おぼえろげにしか覚えていないの。幸せな顔をしていたわ…

マディー
でも…2人のことは何も知らない。だから、おばあちゃんしか頼れる人がいないの…

ウルスラ
分かった、分かったよ…

マディー
変ね…

マディー
このぬいぐるみ、新品同様じゃない！

マディー
一度も遊んだことがなかったのか、それとも…

マディー
遊ばせてもらえなかったのか…

マディー
ヒドい有様ね…かわいそうなクマさん…

マディー
これは…噛み跡かしら？

マディー
…おばあちゃんの猫の仕業ってことにしておこうっと。

マディー
私の両親の写真だわ！

マディー
でも、どうして絵の具で汚れているんだろう？

マディー
はぁ…この小さな手の跡…犯人は明らかね。

マディー
私、きっと…2人に置き去りにされて怒っていたんだわ。

マディー
これでバッチリね！部屋が一気に明るくなったわ！

マディー
おぼろげにしか覚えていないけど、子供の頃も黄色い壁紙だったはずよ。

マディー
お父さんとお母さんも、私の好きな色を知っていたのね！

ウルスラ
マイケルとレベッカほど子供への愛にあふれた両親は、今も昔も見たことがないよ。

ウルスラ
2人は人生のすべてをおまえに捧げていた。おまえのために、あらゆる決断を下したんだ…

ウルスラ
私が認めなかった決断も含めてね…

マディー
認めなかったって…どういうこと？

ウルスラ
それについては、これ以上聞かないでおくれ。また別の機会に話すから…

マディー
分かったわ…なら、他のことを教えてくれる？

ウルスラ
マイケルとレベッカは想像力あふれる夫婦だったよ！2人が力を合わせれば、できないことなど何もなかったからね。

ウルスラ
そしてその想像力は、おまえにも受け継がれているんだ。

ウルスラ
それに、いつも人の良い面に目を向けていた！

マディー
とても素敵な人たちだったのね。私の想像通りだわ。でも…

ウルスラ
でも…何だい？

マディー
私…例の事件について知りたいの。

マディー
私の両親が…亡くなった夜について。

ウルスラ
マディー…

マディー
このブランケット、覚えているわ！

マディー
お母さんとお父さんが、私を優しく包んでくれた記憶があるもの。

マディー
愛とぬくもりを感じたわ…

マディー
お願い、おばあちゃん…

マディー
時々、おかしな夢を見るの。まるで目の前で起きているようなリアルな夢よ…

マディー
炎が見えるの…手を伸ばそうとするけど、目が焼けるくらい痛くて…

マディー
両親に手が届きそうになった瞬間…

マディー
私は誰かに引き離される。

マディー
バカげた話に聞こえるかもしれないけどーー

ウルスラ
いいや、バカげてなんかないよ。

ウルスラ
おまえは、あの現場にいたんだ。

マディー
何ですって！？

ウルスラ
マイケルとレベッカが死んだ夜にね…

ウルスラ
そして…

ウルスラ
私もいた。

マディー
私たち2人が現場にいたっていうの！？

ウルスラ
マディー、よくお聞き…

ウルスラ
あの日、私はマイケルと大ゲンカをしたんだ。

ウルスラ
口論が終わる頃には、マイケルはおまえとレベッカを連れて、車で家を飛び出していた。

ウルスラ
罪悪感に苛まれた私は、もう一度マイケルと話をするために、車で後を追ったのさ。

ウルスラ
そこで目に飛び込んできたのは…

ウルスラ
車が炎に焼かれる姿だった。

マディー
炎ですって！？あれは…てっきり夢だと思っていたのに…

マディー
これ、きっと私の靴下ね。

マディー
小さくてかわいい！

マディー
手編みみたいだけど…

マディー
お母さんが編んでくれたのかしら？

マディー
これだけおもちゃがあるってことは、私は両親に溺愛されていたってことかしら…

マディー
まるで、おもちゃ屋さんを一軒丸ごと購入したみたい！

マディー
とっても素敵なオルゴールね！

マディー
でも、見覚えがある気がする…

マディー
たしか、何度か夢に出てきたことが…

マディー
…そうだ、思い出したわ！いつも寝る時にお母さんが聞かせてくれたオルゴールよ！

マディー
まだ動くといいけど…

マディー
わあ、懐かしい音…

マディー
本当に癒やされるわ！

マディー
子供の頃、怖い夢を見て眠れなくなると…

マディー
お母さんがこの椅子に座って、私を抱えながら寝かしつけてくれたっけ…

マディー
とっても心地良かったわ…

マディー
外で邸宅の写真でも撮っていればいいじゃない！出ていかないのなら…

マディー
オフィスまでブッ飛ばしてやるわよ！！

ホールデン
ほう？俺のオフィスの場所を知っているのか？

ホールデン
もしそうなら、君には人を付け回す趣味があるってことだ。かわいい顔してよくやるぜ…

マディー
減らず口ばっかり叩いて…！

マディー
意地でも帰らないつもりね…どうせ、あることないことを書くつもりなんでしょ？

マディー
それなら、あなたにも手伝ってもらうわ！

マディー
ほら、これを持ってなさい！

ホールデン
おいおい…これじゃ写真が撮れないぜ。

ホールデン
なあ、写真を撮らなきゃ仕事ができないんだがーー

マディー
この花、剪定しておいて！

ホールデン
俺は園芸家じゃない！写真家なんだぞ！

マディー
さっき、記者だって言わなかった？

ホールデン
こいつ、揚げ足を取りやがって…！

マディー
あぁ、楽しかった！

マディー
ついでに人形の家も修復できたし。

マディー
自分の好みにアレンジできて大満足だわ！邸宅の改装と要領は同じね！